ご挨拶
白い画用紙、キャンバスに絵の具をのせて、対象物からの思いや空間をつくっていく。日常の生活と共に、約50年繰り返してきました。
横浜在住の私にとっては、モチーフとなる山手の風景は基本的に変化していません。高校生の時、イーゼルを立てて描いた山手十番館の佇まいはそのままです。
港周辺や洋館巡りのスケッチをしていると、スペインやポルトガルの地中海性気候の穏やかな雰囲気を捉えたくなりました。今回のスペインは三回目の訪問でしたが、集中した時間での制作集となりました。 アトリエに作品が重ねて積んであるより、皆様にご覧いただいてお気に召したらご自宅で飾ってもらうほうが、作品が生きてきます。
令和4年10月 松本 敏裕
制作について
制作は、水彩画、油彩画。今回は長年指導してきた陶芸の技法である染付を活かした表現に拡がってきました。陶土を板状にして発色を良くするために白化粧して焼いて、画用紙・キャンバスと同様にモチーフを描きます。お茶で薄めた呉須(酸化コバルト)を乳鉢でよく擂って描きます。伸びやかで説明的にならないように。これが難しいのです。中国の染付、日本の伊万里焼の染付をご存じのはず。それと同様の技法です。中でも、中国明末に製作された「古染付」は私の先生です。軽妙な筆遣い、楽しい図柄は太刀打ちできません。
また、西洋のタイル、オランダデルフトのタイルやスペイン・ポルトガルのタイルなどの主題と生活の結びつきの表現も勉強のしがいがあります。透明釉を掛けて1230度位で本焼きしてできあがりです。 下絵付けや上絵での加飾にも拡がりがでてきます。酸化・還元焼成の工夫次第で色味も変わります。陶土・磁器土の選び方、呉須の選び方でもいかようにも変化します。表現の楽しみ・苦しみは尽きません。
経歴
1955年 | 横浜に生まれる |
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1970年 | 横浜市立西谷中学校卒業 |
1973年 | 神奈川県立希望ヶ丘高等学校卒業 |
1978年 | 武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業 卒業制作優秀賞 神奈川県立川崎高等学校勤務 1985年まで 東京展出展 1988年まで |
1979年 | 独立展出展 1990年まで |
1983年 | イタリア・フランス・オランダ・イギリス・スペイン旅行 |
1985年 | 神奈川県立上矢部高等学校勤務 1998年まで |
1993年 | 個展「土のしごと・絵のしごと」THE MUSE GINZA |
1994年 | 文部省教員海外(ドイツ・ポルトガル)研修 |
1995年 | 個展「ヨーロッパ油彩・素描展」緑園都市駅ギャラリー |
1998年 | 神奈川県教育委員会高校教育課指導主事 2003年まで |
1999年 | 個展「みなとまち横濱 スケッチ散歩」緑園都市駅ギャラリー |
2001年 | 個展「みなとまち横濱 スケッチ散歩」緑園都市駅ギャラリー |
2003年 | 神奈川県立弥栄東高等学校勤務 2004年まで |
2004年 | 神奈川県立上矢部高等学校教頭 2007年まで |
2007年 | 神奈川県立藤沢高等学校副校長 2010年まで |
2010年 | 神奈川県立希望ヶ丘高等学校副校長 2013年まで |
2014年 | 3月 スペイン取材旅行 個展「バルセロナ、マドリッド、アンダルシアの光と影」画廊宮坂 |
2015年 | 親子展「松本敏裕 亮平」サブウェイギャラリーM みなとみらい線 みなとみらい駅改札から1分 (予定)8月10日(月)~16日(日) |
現在 | 武蔵野美術大学・近畿大学豊岡短期大学(4月から)・県立高校 非常勤講師 |